図書室より 新着本情報(9月)

 

9月の新着本の紹介です。

 

*ルルドへの旅  アレクシー・カレル 著/田隅恒生 訳 中公文庫

ルルドはフランス南部にある巡礼地です。1858年に1人の少女、ベルナデッタ・スビルーが「聖母を見た」ことに由来します。アレクシー・カレルは、フランスの外科医、解剖学者、生物学者であり、1912年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

「奇跡の泉」と「医学生物学者」の間のどこに接点があるのでしょうか。カレルは1902年にルルドを訪れ、奇跡を目の当たりにし、それについての著作を残しています。カレルはこれを機に、カトリックに帰依したとされています。

本書はそれをもとにしたものですが、小説形式であるカレルの著作だけではなく、カレルの生涯に関する解説、日本とルルドとの関わりに加え、明治期に東京の関口教会から発行された『ルゝドの洞窟(ほら)』と称するルルドを紹介する小冊子の内容も含みます。全体として、若きカレルに奇跡の泉がどういった影響を及ぼしたか、俯瞰する構成になっています。

 

*CATHOLICA カトリック表象大全  スザンナ・イヴァニッチ  東京書籍

本書は、Catholica: The Visual Culture of Catholicism (2022)の日本語全訳です。若き俊英スザンナ・イヴァニッチはこの最新刊でカトリック世界の視覚文化を豊富なカラー図版とともに解説します。

キリスト教美術や建築というと、ゴシックの大聖堂やバロック美術などヨーロッパのものを思い起こしがちですが、本書は、メキシコの死者の祭りなど、ヨーロッパに限らない、「芸術」とも言えない、より多様な世界を紹介します。

構成も明快で、「教義」「信仰の場」「霊性」の3部立てです。第1部で名画を用いて聖なる世界の基礎を解説した後、第2部で大聖堂を例に建築の解説が続き、最後は祝祭や巡礼を通して、個人の信仰が世界的広がりを獲得するまでを詳述しています。

聖堂入り口の新購入図書の展示コーナーをご存知でしょうか。毎月の新購入図書に加えて展示月に関連する絵画を展示しています。本書は展示コーナーのネタとしても期待しています。


【図書室係からお知らせ】

図書室の開放ルールを見直しました。以前のお知らせで「自主管理」と宣言しましたが、毎週日曜日の10時30分から11時30分をコア時間として、係メンバーが図書室の鍵を開けることにしました。聖堂の階段に「図書室は開いています」表示板を出し、開放状態が一目で確認できるようになっています。その他時間帯の「自主管理」も継続します。