―「開祭」について―
日本カトリック典礼委員会 市瀬英昭神父(神言修道会)
―新しい「ミサの式次第」の実施に向けて―カトリック新聞12月26日号より
<第2バチカン公会議の典礼刷新の流れの中で>
その意図は、救いの恵みを豊かに受けるため、会衆にミサへの行動的参加を促すことでした。その際、開祭に関する刷新は2点ありました。
- 祭儀が始まる前、「司祭が祭壇へ向かう準備ができると」から「会衆が集うと」へと変更されたこと。
- 司祭が個人的に唱えていた回心の祈りが会衆全体の共同回心の儀とされたこと。
→ミサは全体として簡素化され、会衆のミサへの行動的参加への道が開かれました。
式次第 | 現行『ミサ典礼書』 | 新しい「ミサの式次第と第一~第四奉献文」 |
あいさつ |
司:主は皆さんとともに。 会:また司祭とともに。 |
司:主は皆さんとともに。 会:またあなたとともに。 |
応答の「あなた」は個人ではなく「共同の益のために、叙階の秘跡を通してあなたが受けた恩恵、この祭儀において今、それが現実となるよう求めている恩恵と共に」という意味の「あなた」です。 |
||
回心の祈り |
全能の神と、兄弟の皆さんに告白します。 |
全能の神と、兄弟姉妹の皆さんに告白します。 |
一同で唱える回心の祈りは、兄弟姉妹という現代世界における「横のつながり」だけでなく、「聖マリアと聖人たち」という歴史的な「縦のつながり」、「全能の神、すべての天使」で指し示される超越的な「垂直のつながり」を同時に含んだ祈りです。 |
||
司:打ち砕かれた心をいやすために遣わされた主よ、あわれみたまえ。 会:主よ、あわれみたまえ。 |
司:打ち砕かれた心をいやすために遣わされた主よ、いつくしみを。 会:主よ、いつくしみをわたしたちに。 |
|
この賛美のもつ、いつくしみに満ちた主をほめ讃えるという特徴をふまえています。 | ||
栄光の賛歌 | 地には善意の人に平和あれ。 | 地にはみ心にかなう人に平和。 |
「善意」は人間のではなく、神の意志と恵みを示す言葉であるからです。 | ||
世の罪を除きたもう主よ、われらをあわれみたまえ。 |
世の罪を取り除く主よ、いつくしみをわたしたちに。 |
|
集会祈願 |
開祭の部の中心であり、ミサ全体への導入の働きをします。これは「司式者の祈願」と呼ばれており、「キリストの代理者として集会を司る司祭が、聖なる民全体と会衆の名によって神にささげる」祈りとされています。全会衆が沈黙の中でそれを聴きながら、よく味わい心から「アーメン」と応答できるような朗唱が求められます。こうして、会衆は心と体の準備を整え「神のことばの食卓」に向かいます。 |