図書室より 新着本情報(3月)

 

3月に図書室に入った新刊図書をご案内します。

*キリスト教信仰のエッセンスを学ぶ より善く生きるための希望の道しるべ  小笠原 優 イー・ピックス

小教区で「キリスト教入門講座」を担当するカテキスタたちの「カトリック信仰を伝えるためのいいテキストが欲しい」という声に応えて生まれた。洗礼を受ける準備をしている求道者のために、「使徒継承の信仰」をできるだけ硬直化したカトリック用語を使わずに伝え、「聖書」が伝える「奥義」とイエス・キリストとの出会いへと導いていく。宗教感覚が後退した現代の、キリスト教には馴染みの薄い日本の求道者に向けて「キリストの救いの喜び」をわかりやすく伝えている。

 

*「今を生きる」そのために 苦しみ、悩み、怖れ、無関心からの脱却  森一弘 扶桑社

コロナ禍の今、私たちにできることは何か。新型コロナが現代文明社会の脆弱性を暴き、私たちの脆さを暴いたのならば、一人ひとりがこれまでの「生きる」を振り返り、どんなものに襲われても揺るがない価値観や人生観を確立していく必要があるのではないか。コロナによってある意味「荒野」に置かれた私たちは、真に私たちを支える光とは何なのか、究極の幸せがどこにあるのかを真伨に突きつめることを求められているのではないか。突きつけられた問いは厳しいが、優しい口調に慰められる。

 

*世界は善に満ちている トマス・アクィナス哲学講義  山本芳久 新潮選書

全45巻におよぶ『神学大全』の第二部人間論・倫理学の中の第10巻「感情論」を、研究室に教授を訪ねた学生と哲学者との会話でひもといていく。日常的な経験を丁寧に順序立てて分析することで「愛がすべての感情の中心にある」とするトマスの「肯定の哲学」がわかりやすく説明される。著者みずからが語っているように、対話形式を採用したことで、「哲学者=自分」の答えが自ずと噛み砕いたものになり、より掘り下げた考察ができたということである。