10月に図書室に入った新刊をご案内します。
霧の彼方 須賀敦子 若松英輔 集英社
自身のエッセイ/小説の中でカトリックだと声高に表明しているわけではないが、須賀敦子の生涯を貫いていたのはひたすらに求道的な思いであった。若松氏は同じカトリックの信仰を持つ者として、彼女の著作を詳細に読み解きながら、その生涯と霊性にせまっていく。すばらしい評伝であるだけでなく、信仰と思索、実践と文学について深く問いかける書。
ちょっとお話ししませんか 三澤洋史 ドン・ボスコ社
祈りと音楽の調べにのせて
新国立劇場首席合唱指揮者の三澤さんが優しい語り口で音楽と信仰についておしゃべりします。生い立ちから独学で始めた音楽の勉強のこと、いくつもの教会の門をたたいて巡り会った高崎のカトリック新町教会、典礼音楽について、ベートーヴェンのすばらしさについて、自身の指揮法について等々。音楽が好きな方におすすめ。
【絵本】 いのちの水 トム・ハーパー〔作〕 新教出版社
中村吉基〔訳〕・望月麻生〔絵〕
カナダの神学者トム・ハーパーによる寓話。遠い昔から荒野に湧き出ていた泉、巡礼者たちはその水を飲んで元気を取り戻し、「いのちの水」と呼んでいた。やがて人々はその泉の上に聖堂を建て、壁で囲み・・・。聖なるものが囲い込まれてしまうのは宿命なのか。日本語訳と消しゴム版画による挿画を担当したおふたりはいずれも牧師さん。
【絵本】したきりすずめのクリスマス 三浦綾子〔文〕・みなみ ななみ〔絵〕 ホームスクーリング・ビジョン
あんことクリームを混ぜたような奇妙なタイトルに好奇心を抑えきれず購入してしまいました。
三浦綾子さんが旭川市民クリスマス劇の台本として執筆した戯曲を絵本にしたもの。話は読んでのお楽しみ。思いがけないどんでん返しも。絵がなんともいえず可愛らしい。