年間第27主日 2020年10月4日

先に下記リンク先の聖書箇所を読み、黙想してから動画をご視聴いただくことをお勧めします。

 

朗読箇所のテキスト(日ごとの福音)

 

第1朗読 イザヤ書 5章1~7節

第2朗読 フィリピの信徒への手紙 4章6~9節

福音朗読 マタイによる福音書 21章33~43節

 

お話の要約

みなさん、こんにちは。今回もキリストはまた天の国のたとえ話を話します。今回は葡萄園に関するところで、葡萄園の農夫たちが中心になります。注釈にもあるように、農夫たちは当時のユダヤ人の指導者を指しています。ここでキリストは、当時のユダヤ人指導者たちに対する批判をたとえの形で表しているのです。

何を非難しているかと言うと、葡萄園が枯れていながら農夫たちは我が物顔で納めるべき収穫の一部(それは賃貸料としてのもの)を収めることを拒むだけではなくて、それを受け取るために来るしもべたちをもひどい目に合わせる。農夫たちは、持ち主が遠くにいることをいいことにして好き勝手にふるまっている。それを当時のユダヤ人指導者たちに置き換えると、キリストが批判していることは、その指導者たちは我が物顔で国民を支配していて、まるで神様は遠い所にいるから神様に関係なく自分たちの好き勝手にしていることをキリストが咎めている。それはもちろんキリストは当時の指導者たちに話しているのだけれど、やはり教会としてもこの言葉を自分たちのことに当てはめてみたい。「私たちにとっては、これはどういう意味か?」と。

 

イスラエルに代って今は教会がある。農夫たちは現在の司教や司祭にあたる立場。そして少なくとも同じような危険性が教会にもある。今の時代はどうだかわからないけれど、中世時代はひどかった。腐敗した司教や司祭が多くいたことが宗教革命の一つの要素にもなった。そういうこともあるから、司祭のための祈りは大切になる。そういえばこの間皆さんから霊的花束を戴いて心から感謝しているが、誘惑に陥る危険性も十分にある。司祭司教も弱い人間なので。教会は司祭のものでも司教のものでも教皇のものでもなくてキリストのものである。だから司祭は本当に心からキリストのものである教会に仕え主に仕えるべきである。

 

今回は司教司祭に対するには物足りないかもしれないが、もっと多くの方のことを考えて第一朗読を参考にすればいいと思う。そこではまた預言者を通して葡萄畑の話になるが、そこでは葡萄畑はイスラエル全体にたとえている。最後のところにあるように、「イスラエルの家は万軍の主の葡萄畑、主が楽しんで植えられたのはユダの人々」。そこで預言者が神様の言動を通して嘆いているのは、神様が色々な恵みを与えたのにそれに応えてくれないこと。葡萄畑のたとえにすると、良い葡萄ができるように全部準備して整えたのに酸っぱい葡萄しか実らなかった。どうして?と主が嘆く。「私が葡萄畑のためになすべきことを何かしなかったことがまだあると言うのか」と。イスラエルの場合は、エジプトから導き出して奴隷の状態から解放して砂漠を通って約束の地に導き入れて豊かな土地を与えてくださったのに、民はどうもその恵みに応えずむしろ反逆する。罪というのはある種どんな罪でも「恩知らずの罪」でもある。それは私たちキリスト者全員に当てはまるところ。

 

主から戴いた恵み、教会の場合であれば特に主が御独子を遣わしてくださったこと、キリストが十字架上でご自分を捧げて私たちの罪の赦しと永遠の命を与えて、その上教会を通して今も恵みを与えてくださっていること。私たちの信仰を養うものとしてみ言葉を教会に与え、ご聖体に於いてキリストがご自分を私たちに与えてくださること。何とも言えない恵み、限りない恵み。その上個人的にも色々な恵みを与えてくださる。私たちはどこまでそれに応えているか。そのような問いかけは今日のみ言葉から受け取ると思う。この恵みに応えることはある意味当然のこと。普通の親でも一生懸命子どもの世話をし子育てする。それなのに子どもが全然成長もせず育たないなら、親はとてもがっかりすると思う。与えられた恵みは何かの変化や実りをもたらす。それでは私たちはどうしたらいいか。

 

まず私たちはどれほど恵まれているか、意識することが第一歩だと思います。戴いた恵みをあまり意識しなければ、当然それに応えようとはしません。そこが一つネックになるところ。その意味では、神様の愛をもっと考えて黙想してもっと神様に祈ることをお勧めします。「あなたの愛をもっと深く悟らせてください。」それは主に喜ばれる祈りだと思います。愛してくださる方としてはその愛を分かってほしい。それも当然です。私たちが主の愛をもっと分かれば自然にそれに応えようとする気持ちになります。そこから始めるべきです。それだったら私たちは葡萄園の農夫のような状態にならないで、主に喜ばれる実りある生活になると思います。