図書室より 新着本情報(4月)

 

4月に図書室に入った新刊をご案内します。

  • 強く、しなやかに 回想・渡辺和子   
    山陽新聞社編 文春文庫
    山陽新聞に63回にわたって連載された「渡辺和子と戦後70年」をまとめたもの。インタビューを重ねて書かれたシスター渡辺の伝記の決定版。二・二六事件で陸軍教育総監だった父を失った時の話から、長じて洗礼を受け、シスターとなり、岡山のノートルダム清心女子大学の学長に抜擢されて半世紀あまり。重圧や病い、老いと向き合いながら、人の心に寄り添って生きた人生を追う。学報に載せられた随想も読める。

  • 重力と恩寵    
    シモーヌ・ヴェイユ ちくま学芸文庫
    ヴェイユ(1909 - 43)は洗礼を受けていないが、キリスト教の神髄を深く理解し、求道的な生涯を送ったフランスの思想家であった。レジスタンス運動に身を投じ、また一労働者として、過酷な肉体労働を自らに課した妥協をゆるさぬ実践行為でも知られている。生前、本を出すことはなかったが、彼女から原稿を託された友人のギュスターヴ・ティボンが草稿を編集して世に問うた。
    「わたしたちのうちにあって『重力』に似たものから、どうしてまぬがれればよいのか? ただ『恩寵』によってである。神は、わたしたちのもとに来ようとして、時間と空間の無限の厚みをのり越え、水のしずくが地層にしみこんで行くように、わたしたちのたましいの中へとはいりこむ。」

  • ハリール・ジブラーンの詩 
    神谷美恵子 角川文庫
    レバノン生まれの詩人、ジブラーン(1883 - 1931)はカトリックのマロン派の幼児洗礼を受けたが、考えのあまりの過激さに教会から破門され、国外追放されたという。しかしアラビア語と英語で書かれた彼の詩は、宇宙的な拡がりと宗教的な香気に満ちている。詩人に深い共感をよせた神谷美恵子の日本語訳が美しい。加賀乙彦の後書によると、神谷さんにジブラーンを紹介されたのは皇后美智子さまだという。
    ジブラーンの著作はほかに、佐久間彪神父訳の『預言者』(ジブラーン本人の夢幻的な挿画付き)を所蔵しています。