「二十六聖人の祝いに当たって」

2月5日(火)に二十六聖人の祝いを迎えます。12月に京都で逮捕されて、連行されて2ヶ月ぐらいかけて長崎までの冬の道を歩かされたことは何よりの受難でした。その長崎での殉教を目撃した人の記録はまだ残っています。

 

「私たちの兄弟、パウロ三木は、今まで自分が立っていた演壇のうちで最も誉れある演壇に立っていることを見て、まず群衆に向かって、自分が日本人であり、かつイエズス会士であることを述べ、音を宣べ伝えた為に死刑に処されると言い、この素晴らしい恵を頂いたことを神に感謝すると述べて、次のように語った。

 

今このような時を迎えて、私は偽りを語るとは、どなたも思わないでしょう。ですから、あなたがたに宣言します。キリスト者たちが信じている道のほかには、救いへ導く道はありません。キリスト教が私に、敵を赦し、私に害を及ぼした全ての人を赦すように教えているので、関白殿と、私を死刑に処する全ての人を喜んで赦し、キリスト教の洗礼を受けることを決心するように彼らに願います。」

 

それから、パウロ三木は仲間に目を転じ、この最後の戦いに挑むように彼らを励まし始めた。皆の顔には喜びの表情があったが、特にルドビコ茨木の顔がそうであった。群衆の中のキリスト者の一人が彼に向かって、『君は間もなく楽園に入るよ』と叫ぶと、ルドビコは腕と体全体に喜びをみなぎらせ、見物人たちの目を自らの方に引き付けた。他の者たちは朗らかな顔で『イエズスよ、マリアよ』と繰り返し唱えた。その内の何人かは、集まった人々に向かって、キリスト者にふさわしく生活するように諭した。以上のような態度で、皆は進んで死を迎えようとしていることを示したのである。

 

 

それから、四人の刑吏は槍のさやを外した(日本では、槍をさやに収める習慣がある)。恐ろしい槍を見ると、集まっていた大勢の信者たちは皆、『イエズスよ、マリアよ』と叫び、それに続いて、まさに天の門を叩くような悲しいうめき声が流れた。刑吏たちは非常に素早く一突きか二突きで、はりつけにされている一人一人を殺害したのである。」

 

 

二十六聖人よ、私たちの為に祈って下さい。今あなたがたの心を満たしている天の喜びに全ての日本人があずかることができるように、全ての日本人の心に刻まれて、その奥底に潜んでいる神への憧れの火花が燃え上がるように祈って下さい。