「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です。」

百年前の今ごろ第一次世界大戦は長引いていました。化学兵器が初めて使われた、時折一日の戦いで何万人もの犠牲者を出した残酷な戦争でした。 

戦線が膠着して動かない状態の中で、いつまでこんな悲惨な戦争が続くかが、誰にもわかっていなかったのです。当時の教皇ベネディクトXV世は何回も何回も平和を呼びかけましたが、大国の指導者に無視されました。戦争の被災者を助けようと努めながら、その人たちの苦しみに心を痛めていた教皇は、全てのカトリック信者に平和の為に聖母マリアにノベナ(九日間の祈り)を捧げるように呼びかけました。

 

教皇様が呼びかけたノベナの八日目に聖母マリアは、ポルトガルの小さな村ファティマで三人の子供の前に現れました。この出現は特別でした。グアダルーペやルルドなど他で聖母マリアが現れた時は主に人を助ける為でした。ファティマでは聖母マリアはまさに福音宣教者として、または旧約時代の預言者として、そして何よりも自分の子供が不幸な道を走っていることに心を痛めている母親として現れました。

十字架のもとで聖母マリアは自分の子キリストから新しい任命を受けました。

 

「イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、『婦人よ、御覧なさい。あなたの子です』と言われた。それから弟子に言われた。『見なさい。あなたの母です。』 その時から、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。」(ヨハネ19:26-27)

 

そしてその時から聖母マリアは全てのキリスト者、むしろ世界中の全ての人々の母親になる任命を受けました。

 

聖母マリアは平和への道をファティマの子供たちに示しましたが、そのメッセージは今もとても大切です。私たちの時代は百年前の大変な時代に劣らない程、大変な時代です。いや、むしろ紛争が後を絶たない中で、ある国が核兵器を作ろうとしていることを考えたら、私たちの時代はもっと大変ではないでしょうか。私たちの母マリアは教えました。戦争は人間の罪の結果であると同時に、罪への罰でもあります。人間の傲慢と欲張りによって引き起こされた戦争は、それを引き起こした人間を苦しめる罰になります。だから平和への道には回心の道の他に、何の道もないのです。その上、罪の結果と罰として戦争より恐ろしい苦しみがあり、それは地獄の永遠の苦しみです。従って平和は求めるべきですが、全ての人の永遠の救いはもっと求めるべきです。

 

平和の問題を掘り下げたら人間の心の問題だから、聖母マリアは平和と罪びとの回心の為に祈りと犠牲を捧げるように子供たちに教えました。毎日ロザリオの祈りを、毎日キリストの受難に合わせて自分のあらゆる苦しみを、捧げるように呼びかけました。人間の心を変えるには先ず神の恵みを求めるべきです。

 

そして聖母マリアはとても具体的な恵みの求め方を教えました。それは「初土曜日」の信心です。すなわち、五回続けて、月の最初の土曜日に告解して赦しの秘跡を受けること、ごミサに参加してご聖体を受けること、平和と罪びとの回心の為にロザリオを一環唱えること、そして聖母マリアが受けている冒涜のつぐないとして、十五分間聖母マリアと一緒にロザリオの全ての神秘を黙想することです。

 

私たちの母マリアの呼びかけに答える為に特別な計画をしています。六月三日を最初に、毎月の最初の土曜日に15:00から16:00までの祈りの時間を設けます。始めにご聖体を顕示して、ご聖体の前でロザリオと黙想の時間を持って、終わりに聖体賛美式を行います。その間、私は告解部屋にいます。だから、希望者はその後の16:30からのごミサに参加してご聖体を受けたら、信心の四つのことができます。行きたいけど、都合がつかない方は朝のごミサに参加してもいいですし、ロザリオと黙想は家でもやってもいいですし、赦しの秘跡を初土曜日の前後に受けてもいいので、大丈夫です。